‥「イエスよ、あなたの御国においでになるときには、わたしを思い出してください。」と言った。するとイエスは、「はっきり言っておくが、あなたは今日私と一緒に楽園にいる」と言われた。
新約聖書 ルカによる福音書 23章42節〜43節
ゴルゴダの丘の上で、イエスが十字架につけられた時に、右左の十字架には二人の犯罪人がいました。片方の犯罪人が「おまえがメシアならば自分自身を救ってみろ」と罵りました。他方の犯罪人は、「この方は何も悪いことはしていない」とたしなめ、「御国においでになるときにはわたしを思い出してください」と願い、イエスさまから頂いたお言葉がこの聖句です。
私の夫が大学生であった昭和20年代中頃の多くの日本の教会は、活気ある青年達で溢れていました。青年達は続々と洗礼を受けてキリスト者となりました。学生青年会の中心的な働きをしていた夫は当然仲間や牧師から受洗を期待されましたが、ただ独り教会を離れる事を選び、その選択を誇りにさえ思っていた節がありました。
70歳代中頃、宣告された余命を遥かに超えた日々を自宅で静かに過ごしていたイースターの日に、夫は突然に病床洗礼を授かりました。その日の朝、牧師は「行って洗礼を授けよ」との御声を聞き、これは私の夫の事だと確信したとのことです。牧師は祝会後私宅に直行し、ベッド上の夫に、「洗礼を受けませんか」とお尋ねになりました。驚いた私に反し夫は、「お勧めならば喜んで」と即答し、宣誓も明確に行なって涙の洗礼式となりました。そして、丁度その一週間後に、安らかに天に召されていきました。
1年後の記念日、新しく赴任された牧師がお訪ねくださり、お話しくださったのがこの聖書箇所です‥‥。
(S.T. 80代)